まずはおさらい SWOT分析とは?
今後の経営戦略を検討する場合や事業計画書を作成する場合に、まずは会社の状況を把握しておくことが大切です。
会社の現状を分析する方法の一つに「SWOT(スウォット)分析」があります。
ポジティブ要因 |
ネガティブ要因 | |
内部 環境 |
強み(Strength) 自社の強みや長所、得意なことなど |
弱み(Weakness) 自社の弱みや短所、苦手なことなど |
外部 環境 |
機会(Opportunity) 社会や市場の変化などで プラスに働くこと |
脅威(Threat) 社会や市場の変化などで マイナスに働くこと |
さらにSWOT分析の結果を踏まえて、今後の経営戦略を検討する方法として
「クロスSWOT分析」があります。
内 部 環 境 | |||
強み | 弱み | ||
外 部 環 境 |
機 会 |
強み×機会 【積極戦略】 強みを発揮して、機会を活かす |
弱み×機会 【改善戦略】 弱みを改善して、機会に挑戦 |
脅 威 |
強み×脅威 【差別化戦略】 強みを利用して、脅威を避ける |
弱み×機会 【撤退縮小戦略】 脅威の影響を最小限にとどめる |
この2つの分析方法については、以前のコラム「まずはSWOT分析で会社の現状を知る!?」でわかりやすく解説していますのでご確認ください。
実践!SWOT分析【製造業の場合】
以前のコラムを読んでいただいた方から、
「実際にSWOT分析やってみようとチャレンジしたけど、何を書けばいいのか分からなかった。」
という声をいただきました。
そんな方に向けて以前のコラム「SWOT分析の事例【飲食店の場合】」で、飲食店のSWOT分析の記入例をご説明しました。
今回のコラムでは「製造業の場合」のSWOT分析をやってみたいと思います。
おさらいですが、SWOT分析では自社の事業の状況を、
①自社の内部環境の「強み:S」(自社がもつ資産やブランド力、品質など)
② 自社の内部環境の 「弱み:W」(自社の短所や苦手なことなど)
③自社を取り巻く外部環境の「機会:O」(市場や競合、法律改定など)
④自社を取り巻く外部環境の 「脅威:T」 (市場や競合、法律改定など)
に分けて整理する分析手法でした。
「強み」「弱み」「機会」「脅威」それぞれの特徴や探し方については、以前のコラム「まずはSWOT分析で会社の現状を知る!?」でわかりやすく解説していますのでご確認ください。
ポジティブ要因 |
ネガティブ要因 | |
内部 環境 |
強み(Strength) |
弱み(Weakness) |
外部 環境 |
機会(Opportunity) |
脅威(Threat) |
それでは、製造業を題材にして実際にSWOT分析をやってみましょう!
何を書けばよいか分からないと感じている方も参考にしてみてください。
ポジティブ要因 |
ネガティブ要因 | |
内部 環境 |
強み(Strength) ・長年の経験や熟練作業者の技術力 |
弱み(Weakness) ・〇〇社への売上依存度が高い
|
外部 環境 |
機会(Opportunity) ・新規OEM生産の引き合いがある |
脅威(Threat) ・安価な海外製品に押され受注減少 |
いかがでしょうか?
それほど難しいことを書いているわけではないということをご理解いただけたのではないでしょうか。
すべての業種に関係することですが、
特に製造業においてはQCD向上を意識することがとても大切です。
QCDとは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」を表していて、受注から設計、製造、納品までの一連の流れのなかで、QCDの3つを意識することによって生産効率の向上を目指します。
QCDのなかで最も優先されるべきは「Quality(品質)」が考えられています。
しかし、QCDの3つの要素はそれぞれがトレードオフの関係性になっていて、相互的に作用します。
例えば、
「Q(品質)」向上を重視しすぎて、「C:コスト」が高くなりすぎたり、「D:納期」が長期化する
「C:コスト」削減を重視しすぎて、「Q(品質)」が低下する
このように、どれか1つの要素だけを重視するのではなく3つのバランスを取ることが重要です。
内部環境である「強み」と「弱み」を洗い出すポイントは、
顧客の視点、競合の視点を中心に考えると良いでしょう。
外部環境である「機会」「脅威」を洗い出すポイントは、
大きな視点、小さな視点を意識して考えると良いでしょう。
「強み」「弱み」「機会」「脅威」それぞれの特徴や探し方は、以前のコラム「まずはSWOT分析で会社の現状を知る!?」で詳しく解説していますのでご確認ください。
今回は製造業を題材にして「SWOT分析」を実際にやってみました。
重要なことは、それぞれの内容を洗い出していく段階では難しく考える必要はないということです。
現状を把握するため、まずは考え過ぎずに洗い出していきましょう。
戦略を検討する「クロスSWOT分析」をしていくときには、それぞれの項目をもう少し深掘りして、事業の進むべき方向性を具体化していきましょう!
愛知県豊橋市 中小企業診断士事務所 彦坂マネジメントオフィス