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事業承継・後継者

事業承継の3類型①親族内承継

事業承継の3類型

以前のコラムで事業承継に向けたステップを解説しました。

事業承継には「誰に」事業を承継するのか? によって大きく3つの類型が存在します。

今回のコラムは3つの類型のうち、中小企業において一番イメージしやすいと思われる「親族内承継」について、中小企業庁が策定している事業承継ガイドラインを参考にわかりやすく解説していきます。

以前のコラムを見たい方が「事業承継5つのステップ」をご覧ください。

親族内承継とは

読んで字のごとく、現経営者の子や孫、兄弟などのいわゆる親族に事業を承継する類型です。現社長の娘婿に事業承継する場合もこれに該当します。

3つの類型の中でも、親族内承継は中小企業において王道といえるでしょう。

統計によると中小企業では、

企業規模が小さくなるほど親族内承継に偏る傾向が顕著になります。
逆に親族内に後継者候補がいない場合、廃業するケースも増加します。

これについては、皆様も想像できるのではないでしょうか?



親族内承継 メリットは?

では次に、親族内承継のメリットを説明します。

現経営者が人生を賭けて大切に育ててきた事業を親族に承継するわけですから、当然いろいろな面でメリットがあります。

メリット①経営理念の伝承や経営手法、ノウハウ等を現経営者自らが後継者に対して直接指導できる
メリット②従業員や取引先、金融機関等の各種関係先の理解や協力が得やすい
メリット③通常、数年の期間が必要になる事業承継を早い段階から計画的に着手できるため、計画的な事業承継が可能になる
メリット④事業に関わる多くの関係者に対しても後継者の存在をアピールでき安心感を与えることができる
メリット⑤中小企業経営者は筆頭株主である場合が多くオーナー社長であるため、所有する株式や事業用資産を相続や贈与によって会社の経営と資産を一体で後継者に引き継ぐことができる


中小企業庁の調査によると、事業承継はおおむね5年~10年の期間が必要であるとされています。

親族内であれば、じっくりと計画的に事業承継を進められ、各関係者に対しても後継者がいることをアピールできて安心感を与えることができますね。



親族内承継 デメリットは?

親族内承継は中小企業においては王道といえるため、メリットが多いのは事実です。

しかし、親族内だからこそ発生するデメリットも存在します。


デメリット①血のつながりが優先され、経営者としての資質を有していない後継者に引き継ぐことになる恐れがある
デメリット②経営者に相応しくない者が後継者になった場合、従業員のモチベーションや取引先の評価が低下する可能性がある
デメリット③社内に複数の親族がいる場合、後継者に選ばれる者と選ばれない者が出てきてしまうため、後継者争いに発展する可能性がある
デメリット④株式・事業用資産の贈与や相続において、親族間の争いが生まれる可能性がある
デメリット⑤金融機関から融資を受けている場合、現経営者が個人保証を提供している場合が多く、後継者への事業承継に際してこれらの個人保証を引き継ぐ資力や信用力が後継者にないと判断された場合、個人保証の変更が認められない可能性がある


親族内承継だから起こりうるデメリット。

これを避けるためには、後継者となる親族をしっかりと見極めて、時間をかけて教育することで、社内外の関係者が納得する事業承継をすすめる必要があります。

さらに、親族間の争いや個人保証の問題をクリアにするためには、現経営者が親族・金融機関との密なコミュニケーションを心がけていく必要もあります。

親族内承継 まとめ

親族内承継は中小企業における事業承継の王道であることは間違いありません。

会社内で実務を経験しやすく、後継者育成に最も適しており、様々な関係者にも理解を得やすいと思います。

また、現経営者としても「大切に育ててきた会社を自分の親族に引き継ぎたい!」と考えるのは自然であり、メリットも多くあります。

ただし、デメリットもしっかり考慮したうえで意思決定をしないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。

そのためには経営状況を全社的に俯瞰し、計画的に進めることが需要です。




愛知県豊橋市 中小企業診断士事務所 彦坂マネジメントオフィス 

作成者: 彦坂尚幸

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彦坂マネジメントオフィス
PDCAコンサルタント
中小企業診断士 彦坂尚幸

1978年 愛知県豊橋市生まれ。